2018.04.13

Interview

普段は大阪を拠点に活動しているここここ編集部だが、今回は京都へ足を伸ばした。

美浦タカシさん(前編後編)がバトンを渡したのは、株式会社「川端組。」代表取締役組長の川端寛之(かわばたひろゆき)さん。京都駅から徒歩10分のシェアオフィスは、“組長”という響きの対極にあるようなかわいらしい外観だ。その一角が、個人で不動産業を営む川端さんの事務所だという。

川端さんのWebサイト「KAWABATA channel」をのぞいてみると、既存の不動産情報のイメージにとらわれない文章に、グッと惹きこまれる。バトンを渡した美浦さん曰く、「不動産屋さんなのに、物件をさばいてる感じがしない」「そこに住む人や住んでいた人の想いなど……目には見えないものを動かしてる気がします」。

その人柄と、普段されているお仕事の魅力について、まずは伺った。

京都一ファンキーな不動産屋

——普段されている活動やお仕事について教えてください。

川端: 「京都一ファンキーな不動産屋」、以上です。いつもこれしか伝えないです。

——え、そうなんですか!? インタビュー終わっちゃうじゃないですか(笑)。あえてそれしか言わないことにしてるんですか?もっと説明したくならないですか?

川端: ならないですねぇ。興味ある人は、どちらにしても知ってくれようとしてくれるので。

——そこから先は自分で掘り下げてほしいってことなんですね。

川端: そう、そう。僕がまず売るのは「自分」なので。イベントとかに行ってお会いした人にも、それ以上は言わないですね。これだけ言って、名刺を渡して、それで「そういえばあの人、何してる人なんだっけな?」って思ってもらえた時に、あとはもうKAWABATA channelを見てもらえれば、こっちのもんなんで(笑)。

——KAWABATA channelに、川端さんの伝えたいすべてが詰まってるんですね。「ファンキー」というのは、どういう感じですか?

川端: それもね、別に定義はないんですよ。人から「ファンキーだね」って言われて「それ、いいね!」って言って名乗り始めただけで(笑)。

川端寛之さんのWebサイト「KAWABATA channel」。1chの「コンセプト」から12chの「Facebook」まであるので、ぜひピンときたところから見てほしい。イチオシはやはり2chの「物件紹介」。文章を読むだけで、川端さんのファンになってしまうかも・・・!

——KAWABATA channelの物件紹介、ちょっとだけ拝見させてもらいましたが、なんというか・・・ポエムのような散文とか、友達に話しかけるみたいな長文だったりして、なかなか個性的ですよね。

川端: 物件紹介に関しては、KAWABATA channelを見てもらえば、もうそのまんまですね。よくある質より量のポータルサイトなどのやり方ではなく、一件一件、自分がいいと思える物件だけを伝えるスタイルです。

——美浦さんも、川端さんのことを「熱量と愛が半端ない」っておっしゃっていたんですが、そういう風に“想い”を大切にされている感じが、確かにとても右下っぽい気がします。この記事で初めて川端さんを知った読者の方に、その文章の魅力をそのままお伝えしたいと思うので、最近更新された物件紹介文を一部抜粋して紹介させてください!

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「オール ユー ニード イズ ラブ。」

(略)

いつもの感じとは違う。誰よりも先に僕自身が思った。

でも、そんな状況の中、お部屋を見に行かせていただいた理由3つ。

1つ目、まず、事件は現場で起こってんだよね?

事務所からPCのモニター越しに、量産型物件ばかりを紹介してる、
どこにでもある不動産サイトにあがっている部屋の写真を眺めて、
指くわえて現場に行きもしないで、これは、ないな。とか宣っているくらいなら、この仕事辞めてる。

(中略)

この空間は、もはや、ひとつの愛のかたちだと思ったわけですよ。
空間という名の、部屋という名の愛のかたち。

部屋のかたちをした愛。

日頃、もはやラブレターのように、文章を綴って、物件を紹介してる僕がですよ、
例え違う人の、例え愛の表現方法は違えど、
こんなにも、空間に愛を込めて作られた部屋を紹介しない理由?

ないよ。

ないね。

そういうコトです。

(略)

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(自分の好みとは全く違う部屋のスタイルの物件なのに、
私はこれを読んで、見に行きたくなってしまいました)

まちリノベーションを企画
“イェンタウン”がつくりたかった

川端: それから、リノベーションの企画もしています。そもそも、不動産屋の人がリノベーションプロジェクトの企画をやることってほとんどないんですよ。大体、設計士さんとか、“覚醒した”工務店さんとかがやるんです。オーナーさんが立ち上がるってパターンもありますけど、どっぷり不動産業育ちの不動産屋がリノベーションプロジェクトに入って、企画からやるってのは全国でも少ないんじゃないですかね。

——へー。そうなんですか。

川端: KAWABATA channelの3chで事例紹介してますけど、今やってる仕事のひとつは、これです。大阪の南吹田で街をリノベしてまして。

——街をリノベーションですか。

川端: 同じオーナーさんが、このあたりの一角の物件をまとめて持ってはるんですよ。2019年春に、近くにJRの新駅ができる予定でもあるところで、約20戸ある長屋のうち7戸と、12戸のアパート一軒をリノベーションするプロジェクトです。街の歴史やそこで暮らす人々の想いとか生活を大切にしながら、琥珀色の照明でまちを照らして、安心感、落ち着き、ぬくもりや懐かしさを補完したいなぁと思っているんです。

川端さんがプロジェクトディレクターとして携わる「南吹田琥珀街プロジェクト」のWebサイト「琥珀のように積み重ねた年月から生まれたものを大切にしたい」「琥珀のようにあたたかで柔和な色でまちを包みたい」との想いから名付けられた「琥珀街」。ロゴマークにデザインされた「乾」の文字は、一帯のかつての通称である「乾町(いぬいちょう)」から。

——へー! 素敵ですね。

川端: イメージとしては、「イェンタウン」がつくりたかったんですよ。

——イェンタウン。岩井俊二監督の『スワロウテイル』に出てくるイェンタウン(円都)ですか? 私もあの映画、好きでした!

川端: そう。コンセプトは「過去のような 未来のような 時空を超えたまち」。“アジア感”を出したいっていうのがあったんですよね。そもそも、ここはアジアだっていうのと、仕上げられた空間とかつくられた感動ではなくて、アジア的な街の生命力と混沌とした情景みたいな、今ある風景とか空気感を活かしたい。プロジェクトのWebサイトにも、KAWABATA channelの事例紹介にも僕の想いやプロジェクトの経過を書いてますんで、良かったら読んでみてください。

——はい。サイトもとってもおしゃれですし、今後が楽しみですね。

川端: KAWABATA channelの事例紹介では、「我が家リノベーション」と題して、自分の家のリノベーションも公開してますよ。不動産屋さんの家って、見たことないでしょ!?服屋とかでもそうですけど、物買ったりする時って、売ってる人のセンスって大事じゃないですか。服屋の店員さんの着てる服がダサいとか、嫌ですよね(笑)。でも、不動産屋さんのセンスって、わからないじゃないですか。大抵スーツ着てるし。だから「僕は、こういう感じですよ」って、自分の家すらも公開してるんですよ。

——たしかに! それは、すごく納得します。チラッと見せてもらったんですが、これはすごく面白いですね! 特に「リノベーションっていうのは、デザインを良くするだけじゃなくて、元あった部屋を自分たちの住みやすいように、編集し直せるっていうのも、大きな価値だと思います。」というところがとても印象的でした。建物云々というよりも、生き方の話なんだなと思いました。

リノベーション完了時の川端家のLDK。ドアの色は、KAWABATA channelのイメージカラーでもある渋めのブルー。

写真もスペック情報も一切なしの
物件紹介本を出版予定

川端: 今度、自費出版で本を出す予定なんですよ。

——ほー! どんな本なんですか?

川端: 前の会社で立ち上げた「京都トンガリエステート」と今の「KAWABATA channel」に載せていた(載せている)物件紹介文だけを集めた本ですね(笑)。物件の紹介文って、言わば脇役じゃないですか。みんな適当にぴゃーって見るだけ、みたいな。

——確かに、写真と間取り図と条件だけ見れば、大体用は足りますよね。

川端: 脇役なんですけど、「あえてそこだけ抜いて本にしたろう!」と思いまして(笑)。

——(笑)! なるほど! それはもう「ポエム集」ですね。

校正中の本の見本を見せてくださった川端さん。文庫サイズで、文学的香りが漂う。

川端: そうなんですよ。言葉だけの、物件紹介。で、「これを読んで、物件そのものを想像してください」ってことで、タイトルは『イマジン。』です。

——はぁ~! 写真も条件もなしで。でも、川端さんの物件紹介文なら、確かにコンテンツとして十分価値があると思います! これは、ファンキーですねぇ(笑)。

川端: そうそう、スペックも何も記載なし(笑)。唯一「中京区 リノベーション物件」みたいな情報だけです。これは……100%儲からないやつですよね(笑)。これを売るために、KAWABATA channelの8chを「売店」にしたんですよ。まだ準備中ですけどね。

移住者の気持ちが知りたくて 沖縄に短期移住

川端: あと、ファンキーかはわかりませんけど、去年、1ヶ月仕事を休んで、家族4人で沖縄に短期移住したんですよ。僕は京都生まれの京都育ちで、京都を離れたことがないので、京都に移住して来られる方の気持ちがなかなかわからないんですよね。新たに始める感じとか。そういうのがわかるといいなと思いまして。

——ほー! いいですねぇ、沖縄。 移住者の気持ちはわかったんですか?

川端: そうですね。意外といけるな、って思いましたね。やり方というか……友達を増やしていけばいいって話やと思いましたね。要は入り方の問題かと。それができるタイプなんで、全然平気でした。でも、それ以上に、1ヶ月間ずっと家族と一緒に過ごすことができて、本当に幸せで楽しかったですね。

娘さんと息子さんと。沖縄でのひとコマ。

 

屈託なく笑う川端さんとお話していると、少年がそのまま大人になったような印象を受けました。後編では、「ラブレターを書いて不動産屋さんに就職成功!?」「独立してからのお金について」「右下の中のどこらへん?」などについて伺います。

後編へつづく

インタビュアー:徳田なちこ(取材日:2018年3月7日)

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