2017.09.25

Interview

「ここここ」運営メンバーのひとり、藤田ツキトさん。記事後半では、会社を起こすまでの様々な活動と「まち」への関わり方、右下感などにせまります。

 

KaRaTaMap(カラタマップ)で、「まちづくり」に出合う

 

——自宅兼事務所が東成区にあるとのことですが、どうして今の場所を選ばれたんですか?

ツキト: アート活動をしていた 2008 年に、玉造の「由苑」というゲストハウスのオーナーと知り合ったご縁で、小さなギャラリーを開くことになったので、此花区から東成区に引っ越してきました。そのギャラリーは 2 年ほどやっていたんですが、来てくれたお客さんに周辺のお店について聞かれたりすることが多くて、せっかく来て聞いてくれてるのにわからないのが申し訳ないというのがあり、空堀のお店の方と一緒に街案内の地図「KaRaTaMap(カラタマップ)」を作ることになったんです。


カラタマップを作ったら、「まちづくりの人なんですか?」って言われるようになったんですが、その時の僕は、
「『まちづくりの人』って、誰です?」って感覚で。

 

——(笑)! 「まちづくり」って言葉にすらピンとこなかったんですね。

ツキト: 「そんなんいるんですか?」みたいな感じでした(笑)。それで、いろいろ聞いていくうちに、空堀・玉造界隈の、「まち」に関して仕事なり活動なりをしている人たちと圧倒的に出会い始めたんですね。「玉造の街を勝手に盛り上げる非公式キャラ とらとうちゃん」のプロデュースを始めたのも同じ頃です。マップは、2010 年から毎年作っていました(2017 年 4 月発行分で休刊)。
マップを作るために営業に回ったりしていたら、ものすごい数のお店を知ることになるじゃないですか。だから、あれは作ってる人が一番お得というか・・・

 

——つながれるんですね。

ツキト: はい。こんなお店もあったんやなー、とか。それだけ知ったら、ある意味暮らしがその街の中で完結するんですよね。これは、たぶん、ある程度の街やったらどこでも同じことができると思いますよ。ちょっとした地図を作ってつながれば、「ああ、この街、いいなぁ」とか「暮らしたいなぁ~」という感じが得られるというか。

 

——それは素敵ですね! すでに街の中にある素晴らしいモノや人に、ちゃんと光を当てて広く知らせるってことですもんね。

ツキト: そうですね。その後、「東成の宝を掘り起こせ!」というキャッチフレーズで毎年11月に東成区で開催されているイベント「ひがしなり街道玉手箱」の運営にも、2012 年から 2015 年まで、実行委員長や広報担当といった形で関わっていました(2016・17年は株式会社シカトキノコが広報業務を受託。2017年はプランナーでもあるセメ子さんが実行委員会の運営事務局長)。


 

——そこまで来ると、もう立派に「まちづくりの人」ですね(笑)。それは、ギャラリーをやめた後のことですか?

ツキト: はい。ギャラリーを閉めた後、「物々交換デザイン シカトキノコ」としてデザイン業の個人事務所を始めていたんですが、その時に東成区役所の方から相談を受けて、関わることになりました。

 

——物々交換・・・というところが気になりました!

ツキト: ギャラリーをやっていた頃に、「モノの価値」について考える機会があって、自分の仕事の対価をいただくのに、別にお金じゃなくてもいいんじゃないかと思ったんです。6 万円の仕事をした時に、3万円分を“越前蟹”でもらったこともあります(笑)。物々交換は、お金だけのやりとりだけでは生まれない交流や経験を生むきっかけにもなるんですよ。

 

——へぇ~! それは、右下っぽいですね! お客さんにとっては仕入れ値でたくさん持っているものや、自社で作った商品などが、藤田さんにとってはとても価値のあるものだったり、今までしたことのない経験ができるきっかけになったりするということですね?

ツキト: そうです。法人化した今でも、「晩ごはんと物々交換」で、アイデアの相談にのったりしています。

 

 

これまでの町内会と、新しい町内会

 

——「まち」とのつながりに話を戻して、町内会への関わりについても少しお伺いしていいですか。

ツキト: 東成区に越してきた時はマンションに住んでたんですが、その後しばらくして、同じ地域の戸建てに引っ越したら、ずいぶん町の見え方が変わったというか、地域のコミュニティに加わったという感じがしたんですね。町会長さんが挨拶にみえたり、班長さんが町会費の集金に来たり。せっかく町会費を払ったからには、何か積極的に関わった方がいいだろうと思って、いろいろ活動に参加したり、夏祭の手伝いをしたりして、どんどん関わっていくようになりました。最近は、忙しくなってしまったのもあって、できることだけするようにしていますが。

 

——都市的・個人的な生活をしている人ほど町内会活動のようなものにはあまり興味がないイメージがあるので、クリエイティブな生き方をされているツキトさんが、町内会の役員というのは・・・偏見かもしれませんが、目からウロコな思いです。

ツキト: それから、たまたま友達が同じ町内に引っ越してきたことで、町内会という小さなコミュニティの中にも、もともとの知り合いがいるというのは面白いなぁ、安心だなぁ、と感じる機会があったんです。マップの時の「近所に知ってるお店あったらいいよね」というのと似てますね。なので、どうせなら、「町内会」というエリアの中に知っている人を増やしてみようと思って、町内に空き物件を見つけた時に Facebook に載せて「誰か住みませんか?」っていうのをやっていったら、3 組引っ越してきたんですよ(笑)。

 

——3組も!? それはすごい! 面白いことしてはりますねぇ!! 

ツキト: 町内会という昔からの仕組みにも良さはいろいろあるんですが、地域の中にもクリエイティブで面白い人たちが多いので、全く新しい視点から町内会活動を再編集したり、既存の枠組みの問題を解決するためのアイデアを出し合ったりする活動として、ここここメンバーの梅山さんと一緒に「スーパー町内会活動」というのも行っています。
あとは・・・一見普通の飲み仲間と見せかけて、町内会の重鎮方から「いよいよ人が足らん・・・!」という声が上がった時に「人、集めておきました!」と出せる用の「裏町内会」も作りたいなぁなんて妄想してるんですよ(笑)。

スーパー町内会活動ホームページ

 

 

四つ角全部を攻めて「ど真ん中」を狙う

 

——ひとつひとつの活動について、もっと詳しくお伺いしたいところですが、スペースの余裕がないのがとても残念です!
最後に、右下っぽいということで今日この場にいらっしゃいますが、自分でも「右下っぽい」と思われますか?

ツキト: 僕は今、この図で言ったら、「ど真ん中」を突きたいんですよね。できれば。

 

——ほお! ど真ん中ですか!

ツキト: 自分の育った家庭環境で言うと、考え的には左下が近いです。でも、自分が社会に出ると、仕事をしないといけないから、左上あたりに行くというか、バリバリ「競争!」という考え方ではないけど、働いたら上に上がって行くという、一種のエスカレーター効果なんでしょうね。そして、行き詰まった結果、左上から脱落して左下に戻って来たけど、「何か変えたい」「自分で何かしてみよう!」という気持ちで、右下に来たということかな。でも、会社としては、たぶん上に上がらないといけないので、右上を目指してますね。だから、僕の中で、このへん(右下の中で、上寄り・左寄り。ど真ん中近く)ですね。

 

——なるほど。4つの領域の中での変遷、興味深いです。

ツキト: でも、知り合いの社長さんに、ど真ん中を目指していると話したら、「ここは、中途半端か八方美人って思われるから、難しい」って言うてはったんですよ。

 

——ほほー。 そう言われると、確かにそんな気がしますね。

ツキト: そう言われると、逆に、おそらく誰も攻めてない場所だと感じるので、攻める価値はあるなぁと思うんです。最初からど真ん中を目指して、ど真ん中のことをやろうとしたら中途半端になると思うので、四つ角を全部攻めたいと思ってるんですよね。4つの領域の端っこがわかる、もしくは経験したことがあるという人が、唯一尖れる場所が真ん中かなぁと思うので。

 

——おもしろい! そうですね! そんな感じがします。

ツキト: 僕の中で、デザインというのは、上なんですよ。基本的にデザインって、求められているものに応える、ということなので、「やりたいことやる」んじゃないんです。でも、アートって、たぶん下やなと思っていて。
デザインとアートの両方をやった結果、両方やるっていいなぁと思ったんです。課題解決もしつつ、問題提起や提案ができる機会もつくり、自分が好きでやっていることがだんだんと求められているものに変わっていってビジネスになる、というように、両立できるのがいいなぁと。
だから、「両方やるのが、まちづくり」という考えを、今は持っているんです。「まちのこと、何かやってますよね」というのは、「デザインとアート両方やるからまちづくりっぽいことができるんですよ」という言い方に変えていこうかと、最近は思っていますね。

 

——ツキトさん、ありがとうございました!

インタビュアー:徳田なちこ(取材日:2017年7月17日)

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