2019.03.22

Interview

保育士起業家として、家族や子どもに関連するコラボレーション事業を展開する「こどもみらい探求社」共同代表の小竹めぐみさん。

前編では、活動を始めた理由や、事業を行う上で大切にしていることなどについて伺いました。

後編では、小竹さんが発信し続けている「みんな、こんなに違う」「その違いこそがギフト」というメッセージのヒントを得たという世界を旅していた時のお話や、右下のどのあたりかについて伺います。

“興味”がないと すぐ逃げちゃう

——前編で「私が話したことを聴いてくださった方が、私が話したことに納得をし切らないでほしい」とおっしゃっていましたが、小竹さん自身が人の話を聴くことについてはどうですか?

小竹: 昔から、自分の周りにいないタイプの人の話を聴くのが好きです。国でも世代でもジャンルでも、これまで出会えていない世界をのぞくのがすっごく楽しい。なので、昔、世界を旅していた時は……

——旅! 世界をですか!?

小竹: はい、結構いろいろ行きました。いろんな人の暮らしに飛び込んで、日常をのぞく旅をしていましたね。衣食住や食べ物、家族のかたち……自分とはまるで違う文化を、「へぇ〜〜〜!(驚)」という感じで、違いのまま受け止めるのが楽しかった! 一見、自分とは遠いと思っていた人たちが、自分と同じように子どもたちのことを思って何かをしていたり、でもアプローチの仕方が違っていたり、そういう発見をするたびにワクワクしました。しっかり見つめてみると、この世界には、いろんなところに光があって、いろんな人たちと手が繋げる。そんな感覚が、今の仕事につながっていったんだと思っています。

なので、人の話を聴くのは……「自分が興味のある人の話」を聴くのは、すごく好き。興味がないと全然聞きたくないですね。

——正直ですね!(笑)

小竹: 日本って、「興味がない」ということを素直に言いづらい国だと感じていて……。私は言うんです。性格わるい!と思われちゃうかもしれませんが、大切な” 時間 ” を何に使うかって本当に重要だから、興味がないと、すぐ逃げちゃいますね。

——学校はどうでしたか? 先生の話とか、興味なくて苦痛じゃなかったですか?

小竹: あー、確かに、義務教育って長い時間でしたもんね。でも、学校の頃のこともあんまり覚えてなくて。きっとどこかに光を見つけて、持ちこたえたんでしょうね。「給食がもうすぐだ……」とか、イラスト描いたりとか。

——なるほど(笑)。旅の話もぜひ少し聴かせてください。いわゆるバックパッカー的な感じだったんですか?

小竹: はじめはそうだったんですけど、バックパックは重かったのと、見た目が好きじゃなかったので、そのうちボストンバックとか、キャリーケースとかになっていきましたね。なので、バックの種類は違いましたけど旅のスタイルとしては、いわるゆバックパッカーでした。でも、メイクや服装などわりと小綺麗にしていたので、「バックパッカーにしては小綺麗ですね」ってよく言われたりして(笑)。

——へ〜! それは何歳くらいの時ですか?

小竹: えーっと、20代……ですね。

——へぇ〜! 20代を通して! 特に気に入った地域があったんですか? それとも、行きたいところに満遍なく行った感じですか? 好きだったところがあればぜひ教えてください!

小竹: 独自の文化が今もしっかり残っている国や都市が好きでした。個性的な香りのする国というか……。なので、都会にまみれたようなところに興味がなかったですね。

——具体的に印象的だった国とかあります?

小竹: イエメンはすごく好きだったなぁ。アバヤ(全身を覆う黒い衣服)とブルカ(目しか露出させない被り物)を一式買って装着して、地元の仲良くなった女性たちとハンマームと呼ばれるお風呂へ行ったり、伝統的な刀の舞い(ジャンビーアダンス)を見せてもらったり。目が合うと、すぐに「来い来い」と呼んでくれて、ご飯をご馳走してくれたり、人懐っこく話しかけてくれる。その後治安が悪化して、危険な土地というイメージがついてしまったことが本当に悲しいです。

あとはルーマニア北西部に位置するマラムレシュ地方の、ド田舎、シゲツも印象的でした。当時、まだ電気も通っていなくて、馬車が往き交い、家の中をのぞくと糸を紡いでるおばあちゃんがちらっと見える……そんな中世ヨーロッパにタイムスリップしたかのような素朴な地域。田舎すぎてたどり着けず困っていたら白ひげのお爺さんと仲良くなり、シゲツにいる彼の旧友たちを一緒に訪ねてまわりました。

あとは、私は砂漠が大好きなので中東は色々行きました。シリアとかモロッコとか。エジプトの砂漠のベドウィンの村の方たちにもお世話になりました。私は英語が全く話せないので、「それなら世界中どこいったって言葉がわからずおんなじだ。」と開きなおって、片言のその地域の言葉とジェスチャーだけで飛び回っていましたね。

——素敵ですねぇ〜! もっとお聴きしたいですが、今回は時間がなくて残念です……!

モロッコ、ルーマニア、スロベニアで撮った写真の一部。
「誰かとの出逢いをワクワクしながら、旅はいつも一人旅でした」。

「今、ここ」にあるもの

——みなさんに聞いてる質問なんですが、一応「右下っぽい人」ということでバトンが渡された今回のインタビューなわけですが、小竹さんは、ここここの図で言うと、ご自身を「右下っぽい」と思いますか?

小竹: そうですねー、自分の中では左下という意識があるけど、周りから見ると右下って言われる、っていうタイプだと思います。

——ほー。分析的ですね。

小竹: 私、「もっと」っていう言葉が好きじゃなくて、使わないようにしてるんですよ。

——「もっと」?「もっともっと」の「もっと」?

小竹: はい。英語の ”more” 。

——なぜですか?

小竹: 「 もっともっと」はキリがないなぁ、と。暮らしも、仕事も、人との関係性にも言えることですが。もっと を追い求めるより、もう十分だと 現状に納得して、現状に感謝をする方が私は好き。

——なるほどー。

小竹: なので、私は左下の感覚で生きてるけれども、周りは右下っていう風に言う。でも、それは別に嫌ではなくて、「へ〜。自分が思ってるのと、人から見られるのって、違いがあって面白いな〜。以上。」って感じです(笑)。

——さがひろかさんのインタビューでも、村がどんどんなくなっていく時代になると、今度は村みたいなことをやろうとする人が、むしろ最先端で、右(改革)なんじゃないかっていう話が出たんですけど、この図でいう「現状維持」は、「何もしなくていいか」みたいな感じで、特に「今を大事にしてる」というわけでもないんですよね。

「もっともっと」という価値観が、今の日本社会では当たり前になってしまっているから、それを疑わずに生きている人が左側なのかな?と考えると、周りから見て「今を大事にしたい」と思う小竹さんが右側、という解釈かなと思いました。

小竹: あー……進むことを恐れているわけではない、ということが「改革」になるのかな? 左が「現状維持」ではなくて、「現状保守」とか「現状を守る」の意味なら納得ですね。

——「固執する」的な?

小竹: そうそう。要は「変わりたくない!」とは思わない。むしろ、常に変わっていると思っている。けれども、「変革させよう!」とか「改革を起こせ!」という言葉や風潮がけっこう苦手で、なんかこう「う……」ってなります。

——言われてみれば、ちょっと強い言葉ですね(笑)。

小竹: でも、それは言葉の問題なのかなーとも思ってきています。少し前からの自分のテーマなんですけど、人も出来事も、なんでも「球体」だなと思っています。ちょっとだけ見えたことでその対象の全てを判断するのではなくて、人も出来事も、いろんな部分があり、いろんな見方も言い方もできちゃう。

昔は、人も出来事も「良い/悪い」「こういうことだ!」と一言でまとめたり、ハッキリさせたがっていました。でも、「こういう“面”もあるね」と考える時期を経て、今はもう「球体」で、「自分のわからない部分もあるよなー」って、決めつけずに、いろんな可能性に思いを馳せていますね。

——へぇ〜。いろんな側面がありすぎて、もはや「球体」。

小竹: こう考えるようになってから、ちょっとキャパが広くなったというか。いろんな風に言ってくれたら、いいなぁ、面白いなぁ、という気持ちです(笑)。だって、その人のフィルターを通して見えてくることって、私には見えないことだったりもするし、刺激がありますよね。

戦うよりも、受け入れる方が楽

——上下の軸はどうですか? 競争したい、みたいな気持ちはないですか?

小竹: 競争? なんか……「疲れそう」っていうイメージがあります。基本的に、ヘタレなので(笑)。

——(笑)。そうなんですか!?

小竹: コツコツ努力とかが苦手で……なんかこう……競争は「疲れそう」って思いました。もちろんそういうタイプの人もいていいんですけど。私は遠慮したいです。

——ふむふむ。

小竹: 私は、戦うより受け入れ合う方が好きです。眉間にシワを寄せたり、怖い顔をしていると、人も運も離れていくし、老けそうです(笑)。競争しそうになった相手と協力ができたら、きっとそれまでより良いことがお互いに起こると思います。そんな甘い意見はダメ!って言う人もいますけどね〜。

——そうですね。それはまぁ、人それぞれですね。お金は、稼ぎたいですか?

小竹: お金? お金は「仲良くしたいなー」とは思います。やっぱり、お金というものがもたらしてくれるものは、すごく、ワクワクすることもあるし、可能性があるので。

「私、どこなの?」 相手に問いたい

——では最後に、この図の中で言うと、小竹さんはどのへんだと思いますか?

小竹: 「私、どこなの?」って感じですね、逆に。

——あ〜。

小竹: たぶん私が、自分をカテゴライズすることにあまり興味がなくて。だから、カテゴライズしたい人に「どこ?」って、問いたい感じですね。

——なるほどー。

小竹: でも、「どこなの?」って聞いておいて、「ま、どこでもいいんですけどね」っていうのが、自分でも面白いところで(笑)。どうでもいいという意味ではなくて、「どこでも、いい」「どこも、いい」っていう気持ち。だから、やっぱり頭を使うことがあんまり好きじゃないんですね。

——すごくよく、伝わってきました(笑)。お聞きしていて、気持ちがよかったです。

「人それぞれ」「みんな、一人ひとり違う」という言葉は、昨今ではよく言及される言葉になってきましたが、長い間「みんな一緒」を良しとする社会(それは便宜上必要なことも多かったとは思いますが)をつくってきた私たちにとっては、「空気のように自然なことになるまで、まだまだずっと言い続けていきたい言葉だな」と、小竹さんのお話を聴いていて感じました。

小竹さん、ありがとうございました!

インタビュアー:徳田なちこ、藤田ツキト(取材日:2019年1月4日)

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