前半はメガネヤの独自のカラーがどのようにできあがってきたのかについて、市川さんの半生を交えながら伺った。後半は市川さんの考える右下について迫ります。
変化のトップはとらなくていい
——ちなみに一応ね、このサイトは右下に寄せていかないといけないんですけれど(笑)。自分の活動を右下っぽいと思いますか?
市川: 変化の軸なら「やるならこっちの方がいいよね」という意味で変化したい方だと思いますし、競争の軸なら競争はしないようにやっている気がしますね。
——自分は右下ぽいと思いますか?
市川: 右下ぽい。あー、そうですね。
——笹尾和宏さん(前編/後編)からの紹介ですけど、どういう部分が右下ぽいと思われたんでしょうね。
市川: まぁ古本屋やのに、笹尾くんがやっている、まちのなかで遊ぶとかに近い部分があったからじゃないですかね。例えば「メガネヤが朝から開いている日」とかやっているんですよ。
蔦屋書店にて、メガネヤが朝から開いている日
新宿伊勢丹にて裏輪飲み(100円均一ショップで買える磁石付きのプラスチックのケースを使って路上に簡単なテーブルを作り、そこで飲み食いすること。):メガネヤさんのTwitterより
——どんなことをしているんですか?
市川: この店はいつやっているかわからないってよく言われていたんで、木曜の午前中は開けてるんです。多分木曜日の朝って人もそんなに来ないはずなんで、僕もしんどくないし。
それで、ここでやっていても、どこでやっていても一緒やろと思って、JR大阪駅の上に蔦屋書店があるでしょ?あそこのラウンジはめっちゃ広くて、朝一で行くとそこにずっとこうやって座っていられるんです。だから、朝7時から僕がずっといる。すると人が来るんですよ。
——雑談しに?
市川: いろいろですね。雑談する人もいれば、7時からなので8時すぎに出勤する人が30分だけとか来たり、9時ぐらいから10時から仕事の人が来たり。平日休みの人も来ますし、午前中早めに出たら午後ちゃんと動けるから、早めに出る理由として来る人も。
——暇つぶしとか、時間調整でみんないいように来る(笑)。
市川: ちょうどいい具合に使えばいいと思っているから。こういうことがあったらいいのにと思うことがあったときに、僕がやらなくてもどこかの誰かがやったらいいと思うし、いままでよりは面白いことになった方がいいと思う。
という意味では僕は競争はぜんぜんしてないし、変わってほしいと思っているから、右下っていうことかもしれないです。僕が変化のトップを取らないといけないとはあまり思っていないです。
競馬と右下
——右下で言ったら、自分がどのへんだと思いますか?
市川: まぁこの辺りじゃないですか?
——けっこう下より。変化もしたいし、共生もしたいしみたいな。
市川: 競馬しませんか? 競馬場に行くと、めちゃ面白いんですよ。馬券売り場で情報をすごい真剣に見ていて、馬券買って「わーっ」てなって、外れたらすぐ次のこと考えているんですよ。
極端に言うと、競馬って馬とは交渉は絶対にできないから、一切考えないんですよ。そこにある情報だけで判断して、そこに責任を負いつつ、その次のことを考えている。
負けたらぐちぐち言うかもしれないですけれど、勝ったらすごく喜ぶとか、すごく爽やかな感じがたまらないです。でもね、選挙になったらそんなことにならないでしょ?
——馬だったらあっさりしているのに、選挙だったらそうじゃないっていう。
市川: 一番人気の人が当選しているだけでしかないのに。倍率1.2倍の人が通るのは当たり前なんですよ。だってみんなから票をもらったんだもん。じゃあ馬の場合は? 走らないこともある。それをわかっているのに、一番票を入れてもらった人が正しいことをできると信じているのは絶対おかしい。
——でもやってほしいと思っちゃいますよね。
市川: 馬が負けても「なんだよーっ!」って怒るぐらいですよね、馬のせいにはしないですよね。
みんな本当にこの人がちゃんとできるって想像して投票しているんだろうか?3番手ぐらいまでの人が全員同時に政権を担って、一番よかったのはどれかと後で考えるのでいいんじゃないか?と思ったりします。
まかせようと思ったけど、やってみたらやっぱよくなかったわ、というのもありますし。同時並行で政権を担当した方が何かいいことが起きそうですよね。だって急に変わらないですもん。
——与党野党じゃなく、政権を分けちゃうのは、発想としてはいいかもしれないですね。例えば道路に関してはこの政党が握るみたいなのはあってもいいかもしれない。
市川: 一緒にやった時に足並みをそろえる大変さがあるでしょうけど。道路の使い方はあの党がよかった、だから今度はあの党を中心にした方がいいんじゃないかとか。政治の仕方をもうすこし細かくした方がいいような気がします。なんてことを考えたりもしますね。あはは。
市川さん、ありがとうございました。
インタビュアー:太田明日香(取材日:2018年4月23日)